昨日は、いつもお取引をしている会社のお客様へ2回目の訪問をしてきました。
このお客様は弊社とのお付き合いはないのですが、訪問する理由には以下のような経緯があります。
・別のソフト設計会社はすでに廃業している。
・このソフトはまだ完納していなかった。
・別のソフト設計会社から引き継いだ会社の設計者が色々と打合せをしていたが、1年経過してもシステムが正常稼働していない。
このままではかなりまずいということで、色々と相談をうけ、「とにかく一刻も早くシステムを早く正常稼働できるようにしてほしい。」ということでした。
こういう「火消し」という仕事は私は昔からよく依頼をうけます。
あまり嬉しい仕事でもありませんし、もちろん費用もほとんど出ないしリスクはあるという、はっきり言って迷惑なものです。
しかし、弊社とお取引している会社が困っていることなので、可能な限りお手伝いをするようにしています。
変な言い方ですが、こういう依頼では面白い発見もあります。それは、
・当初の設計者がどのように考えていたかが見えてくる。
・どういう経緯でつまづいたかがみえてくる。それが設計なのか運用なのか。
ということです。
自分の案件ではないもので、失敗プロジェクトを具体的に把握することができるというのは、設計者にとってはとても勉強になるからです。
今回の依頼の原因を追及すると、いくつかの問題が見えてきます。それは、
・当初提案内容と、開発していた内容が違っている
・課題が担当者間でのみ共有されているが、対会社としての共有がされていない
・基本設計をやらないまま、できるところから開発をすすめている
という点でした。
提案内容と開発内容が違うということですが、提案内容は営業マンが作成したものであり、お客様の業務などを確認していない「絵に描いた餅」状態だった為、現場に配属された設計者は、最初から「こんなのでは運用できない」ということで独自のシステムフローを考えて進めようとしていた。
この詳細は現場担当者と口頭レベルで共有していたが、文書としてのこらず、お互いの会社の責任者レベルまでも報告がなかった。
次に、基本設計をやらずに開発した点ですが、別システムとの連携を含んでいたのですが、別システムの動作がよくわからない為に、わかっているところから開発していき、あとで何とかなるだろうということで進めていた。
この結果、別の要因でこのソフト設計会社は廃業し、そこに依頼していた会社が代わりに引き継いだのですが、途中まで稼働している内容をみると、当初設計を全然概念が違うことに驚き、無理やり元にもどそうと色々といじっているうちに、どうにもならなくなってしまったようです。
ということで、前回にお客様の代表者と担当者と話をする時間を作ってもらいました。
また、失礼な話をお客様にするかもしれないが、それについても了承をしてもらいました。
お客様にまず会って話をした内容は
・このソフトは何ができるシステムとして依頼をしたのか
・現状をどこまで把握しているか
を確認しました。
やはり、代表者と担当者の把握内容は全く違っていて、誰も正確な状況は把握できていません。
その上、代表者も当初に依頼した内容と違う機能を求めているということに驚きました。
でも原因は明確です。
このプロジェクトにおいて、
・何が目的なのか
・今の業務がどのようになるのか(現状と導入後)
・何ができるようになるのか、何ができないのか
・運用でのルール
が明確ではないのです。
よーくみると設計担当者の書いた資料には色々なことがぎっしり書かれています。
でも相手側には伝わっていないのです。
ということは、資料を作成したり設計をしたとしても、相手側に正しく説明できていないということです。
例をあげてみると、法律のような言葉を並べているだけで、具体化した説明をしていないので、打合せをしても相手側もわからないので
資料がこれだけ沢山出てくるならば、ちゃんとやってもらっているという安心感で理解をしていないということでした。
確かに私が読んでもわかりにくいですし、よーく理解してみると矛盾も沢山ありました。
でも今さら「誰のせいだ」などと言っても何も変わりません。
ということで1週間後に再度、責任者と担当者と業務運用者を集めてもらうように依頼し、昨日お話をしてきました。
私が作成した資料は以下の内容で23ページ。
・目的
・大まかなシステムの流れ図
・1つ1つの業務がどのようになるかを1業務1頁に集約した図解の資料
・各業務での予想される運用課題と対処案
・守るべき運用ルール
です。
約4時間、この資料について1つ1つお客様とお話をして、お客様で確認していただく課題、弊社で持ち帰る課題などを明確にして、まら来週に報告会を開きます。
さすがに疲れましたが、お客様はこういう資料できちんとお客様がわかる説明をしたことを大変喜んでいただき、私に対して「本当にありがとうございます。今後も期待しています。きちんと運用できるよう頑張りますのでよろしくお願いします。」と言ってくださいました。
いつも通りのことをしているだけなのですが、やはりこう言ってもらえるとうれしいものです。
でも、こういう当たり前のことができないソフト会社のSEや、丸投げのコンサル会社も多くあります。
こういう会社に限って、一人前の大企業並みの費用を要求してきます。
もっとお客様の業務に入り込み、ITをどう活かすかだけでなく、業務をどううまく運用するかまでをやってもらいたいですね。